終了

ジェフ・ウォール

1997年12月13日[土]~ 1998年3月22日[日]

■企画展
水戸芸術館現代美術ギャラリーでの会場風景

本企画は、ロサンゼルス現代美術館との協力により実現した国際巡回展として、 ハーシュホン美術館(ワシントンDC)、 ロサンゼルス現代美術館を巡回した後、日本では水戸芸術館でのみ開催される本格的な個展です。カナダ出身のアーティスト、ジェフ・ウォールの作品は、日本ではこの2年ほどの間に、 横浜美術館や 世田谷美術館、京都国立近代美術館でのグループ展で2-3点紹介されておりますが、本展は、世界の主要な美術館や個人のコレクションからの作品も含めて、20年間のジェフ・ウォールの軌跡を一堂に展覧する大規模な回顧展です。
本展では『荒らされた部屋』から新作のモノクロ作品までの30作品(39点)を展示し、「私たち自身の生きている社会、そして私たちの現在と未来」をみつめる彼の透徹した視点を提示しようとするものです。ウォールの作品は、俳優を使った映画製作並のロケハンと、コンピューターによる綿密な画面構成によって作り出されます。昔の画家が大画面の歴史画や風景画、風俗画を構成し描いたのと同様に、ウォールは美術史の知識と写真技術を駆使しながら「現代」を描きだしているといえます。例えば、葛飾北斎に影響をうけた彼は、富嶽三十六景の『駿州江尻』を模して現代に置き換えた『突風』という作品を1993年に制作しています。映画のワンシーンや日常生活の時間を一瞬凍結したような彼の作品から、人々は想像力をかき立てられ自分なりの物語を思い浮かべることができるのです。
ジェフ・ウォールは1978年、地下鉄の広告にも似たライトボックスとカラー写真(カラートランスパレンシー)という素材を得て、広告の持つ訴求力を作品の中に取り入れ、インパクトの強い初めての作品、『荒らされた部屋』を発表しました。アーティストによって舞台セットのように念入りに構成されたこの作品は、個人の部屋が何者かによって荒らされ、破壊された様を再現しています。ブリティッシュ・コロンビア大学で学んだ後、ロンドンのコートールド美術研究所で美術史を修めたウォールは、ゴヤやマネのように、画家自身が生きている時代を描き出していながら、強烈な印象を与えることのできる作品を作るにはどうすべきか、私たちが生きている現代社会にとって意味のある作品とはなにか、を問い続けていました。蛍光灯を仕込んだライトボックスと写真を組み合わせるという発想はそうしたウォールに答えを与えるものでした。ジェフ・ウォールは、「絵画、映画、写真、広告のいずれでもないのに、そのすべてと結びついている」新たな表現方法を手中に収めたといえます。以来、ウォールは、自らが生まれ育ったバンクーバーの風景や町中での生活、そしてストレスの多い現代人の心理的葛藤など、私たちが生きている社会を映し出す鏡としての作品を作り続け、新しい現代の語り部として国際的にも高い評価を受けています。


▼関連プログラム

1.記念講演会「なぜ、私の作品には富士山がないのか」

実施日:12月14日
講師:ジェフ・ウォール

2.「飯沢耕太郎の写真講座1・2・3」

講師:飯沢耕太郎

1)「ジェフ・ウォールとコンストラクテッド・フォト」
実施日:1998年1月18日

2)「女の子写真の現在」
実施日:2月15日

3)「徳川慶喜は写真家だった」
実施日:3月15日


▼開催概要

展覧会名

ジェフ・ウォール


会場

水戸芸術館 現代美術ギャラリー


開催日

1997年12月13日[土]~ 1998年3月22日[日]


開催時間

9時30分~18時30分 ※入場は18時まで


休館日

月曜日、年末年始(12月29日[月]~1月3日[土])


入場料

一般800円、団体(20名以上)600円
※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名、年間パスをお持ちの方は無料


主催

水戸芸術館現代美術センター、ロサンゼルス現代美術館


後援

カナダ大使館


助成

カナダ政府


協賛

日本航空株式会社、株式会社資生堂


協力

株式会社竹尾、株式会社創夢、株式会社イッツ


企画

ケリー・ブロウワー


日本展担当

逢坂恵理子(水戸芸術館現代美術センター芸術監督)